パーキンソン病において、L-dopaと言った薬物療法はとても効果的ですが、それと同時に自ら身体を動かすことも大きな効果を生みます。アメリカではパーキンソン病と診断されて、「薬」を処方されると同時に「リハビリ・運動」も処方されます。
ここで覚えていて欲しいのは「リハビリを行うのは病院内だけではないし、人にやってもらうものではない」です。少し意味が分からないかもしれませんが、リハビリと言う名前にこだわらずに、普段自分が出来ることをきちんとやっていく事が、すでに運動でありリハビリでもあります。そしてあなたの体はあなたが動かないと変わらないという事です。セラピストやコーチには指導をして頂き必要な人達ですが、あなたが動かないとそのアドバイスも意味をなくします。
パーキンソン病と診断され気持ちが落ち込んでしまうのは当たり前です。しかし覚えていて欲しいのは体が動かなくなると、運動量が極端に落ちエネルギーも減るので余計に動けなくなってしまう事です。
今の生活を維持するためにも身体を動かすことはとても重要です。
LSVTとはLSVT LOUDと LSVT BIGを総合した呼び方です。
ちなみにLSVTはLee Silveman Speech Therapyの頭文字をとったもので、パーキンソン病のために考えられたリハビリプログラムでアメリカで始まりました。
プログラム内容は週4日を4週間、1セッションは1時間、1対1でのST,PTかOTでの内容となっています。
STと行うプログラムはLSVTラウドで発生から声の出し方、コミュニケーションのような内容です。
PT・OTと行うプログラムはLSVTビックで大きな動きなどで身体の事全般に行います。
病院でリハビリすることだけが全てではありません。対処療法とも言われ、西洋医学以外のセラピーなど体に良いと言われる様々なセラピーをご紹介しています。以下は病院以外で行われる様々なパーキンソン病に特化した運動プログラムを紹介しています。お気に入りのセラピーが見つかるといいですね!
以下のセラピーを日本で行っているグループを見つけるたび、リンクに追加していきたいと思います。
タンゴセラピーとしてパーキンソン病患者のリハビリにとても効果的なようです。2分ほどのビデオですので、音楽がかかる前と後で違いをご覧下さい。アルゼンチンタンゴのゆっくりとした動きと、リズムと共にパートナーが居る事も相手のガイドがある事で、身体がスムーズに動く手助けとなっているようです。
タンゴセラピーの代表的なメグ・モリス教授が、音楽はBasal Ganglia(大脳基底核)を通らない刺激になるため、リズムが身体を動かす手助けになっていると語っています。
PDタンゴセラピーをご紹介します。東京を中心に活動されている日本タンゴセラピー協会です。音楽やパートナーと動くことが、PD特有の運動症状にとても有効です。触れ合ったり、仲間と一緒に過ごすことがセロトニンなどの精神面にも影響するので、PDの非運動症状にも効果的です。
ロックステデイボクシングは2006年にアメリカインディアナポリスで設立された、パーキンソン病(PD)の方々の為のボクシングセラピープログラムです。創設者スコット・ニューマン氏は40歳のときにパーキンソン病と診断されました。そこで、身体を動かすためにもと始めたボクシングがきっかけとなったボクシングセラピープログラムです。
その効果を口コミで知った人々が、是非プログラムを広めて欲しいとの声により現在アメリカ全土に800カ所。世界13カ国と素晴らしい広がりを見せています
RSBのHPへはここをクリック
パーキンソン病の運動の一つとして太極拳も有名ですね。
アメリカでは太極拳はTai Chiと呼ばれています。なのでこの動画でも紹介されている言葉は
「Tai Chi for PD」という感じで紹介されています。
PDの運動障害として動きが硬く小さくなってしまう事があります。なので、太極拳ではゆっくり大きく動く事にフォーカスしています。それにどの部位をどの様に動かすのかと意識をするのも大切ですね。
太極拳は日本でも多くの方が参加されています。身近に始める運動の一つではあります。
日本でもパーキンソン病患者の増加に伴い、NHKなどの健康番組で取り上げられる事が多くなってきています。この動画はNHKで紹介されていた「家でも簡単に出来る太極拳」と太極拳の効果についての紹介ページと動画になっています。
ダンスセラピーの1つで、ダンスフォーパーキンソン。
日本ではPDダンスとして、取り組まれている団体もあるようです。
椅子に座ったままでも安全に行え、好きな音楽と一緒に身体を思い切り大きく動かす。感情を顔で表現する事で、表情筋のトレーニングにもなりますよね。それ以外でも、長棒やタオル、ボールといった様々な道具なども利用しています。
アメリカアートセラピー協会によるとアートセラピーがPD症状を軽減・改善に効果があるようです。チェックした項目は血圧、ストレスと手先の動きなど。OTのセラピーとして取り入れられることも多くアートセラピーではPD運動症状だけでなく非運動症状にも効果があり、とくに気分障害や精神安定などにカウンセリング効果もともない効果があるようです。
それ以外でも、PD運動症状の問題として空間認識能力の低下や目の動きなどの症状などにも色を使ったり、粘土などの立体の物を触ったり作る事が大切なポイントであるようです。
NYにあるNYU大学ExplorArtPDの研究結果によると、空間認識能力と歩行に改善がみられたと報告しています。それ以外でも粘土を使ったセラピーでは、リラクゼーション効果だけでなく手先の動きや感覚神経トレーニングにもなり、その影響からPD特有の筋肉のこわばり、振るえや疲労感の改善が報告されています。
アレクサンダー・テクニックとは、自分の身体の感覚に向き合い、体がどのように動いているのかなどに注意を向けながら行う動き方の再教育を行う方法である。なので、「身体の使い方を学ぶ」セラピーです。
19世紀のオーストラリア人・アレクサンダー氏によって考案された方法のようです。彼は元々シェークスピア劇の俳優で、舞台で思うように声が出なくなるのは、自分の体の使い方に問題があるのではと考えた事が始まりだったようです。
そしてたどり着いて考え方が、必要のない身体の部位が過緊張になり、正しく動くべき動きが出来ていないと結論を出しました。無意識的に起こる筋肉の過緊張になる習慣を意識的にやめ、そこから正しい筋肉の使い方を学び直す。
パーキンソン病でも確かに筋肉が過緊張するために起こる行動パターンであったり、イメージと身体のズレからおこる小さな動きがあったりと、とても勉強になるテクニックだと思います。
動画はアレクサンダーテクニックを使うと、歩きやすくなると彼女の動くヒントを紹介しています。
アーユルヴェーダとは、世界3大医学の一つとされており、インド・スリランカで5000年以上前に生まれた世界最古の伝統医学です。サンスクリット語のAyuh(生命)Veda(知識)を元に、自然の在り様に近い、心身が幸福に満ちた人生を送る上での実践的な生活健康法です。
例えば病気だからと直ぐに手術や薬で治療するのではなく、「生き方」そのものを見つめ直すアプローチです。そして生き方とは、食事・運動・睡眠といった生活習慣に考え方や人間関係のような精神面も含んでいます。
パーキンソン病においては、食事・運動・生活習慣や気持ちの面と考えると、とても役に立つトータルケアになるのではないかと思います。